FFオタクの33c0m(ミサコム)です。
FF7のヒロイン、エアリス・ティファの過去がメインストーリーの小説「Traces of two pasts」が、2021年7月に発売されました。
原作が発売してから20年以上経っているにも関わらず、世界中にファンがいるFF7シリーズ。
小説内ではさらに新しいキャラクターが追加され、今まで語られてこなかったヒロイン2人の過去がついに明らかとなりました!
結論から言いますと、ファンとしては見逃し厳禁な内容となっておりまうす。
わたくしが読んだ感想と、個人的に見どころだと感じたポイントをご紹介していきます。
読んでみようか、どうしようか~と迷っている方の参考になれば嬉しいです。
※少しネタバレも含まれています。まっさらな頭で読んでみたい方はご注意ください。
Traces of two pastsってなに?
Traces of two pasts=2つの過去の軌跡(痕跡)っていうタイトルの通り、
エアリスとティファがFF7本編に入る前の過去を描いている小説です。
届いたときにビックリしたのは本の分厚さ!
ご覧のとおりガッツリ長編ですが、行間が広くて会話形式なので読みやすかったですよ。
著者はFF7関連やキングダムハーツなどのシナリオライターを担当されている野島一成さん。
今回の小説以外にも2冊出版していて、どちらもFF7を語る上では重要なストーリーが描かれています!
何といっても今作の表紙、読む前からすでにグっとくるデザインですよねぇ…!
真ん中の時計の秒針が、7時3分くらいを記しているのもなにか意味があるのかしら、、なんて深彫りしちゃったりして。
小説内ではエアリスとティファ、2人がお互いの過去を語り合っていく描写で物語が進んでいきます。
途中でレッドやバレッドが話に入ってきたりして、仲間内のほんわかしている空気感がまた良い。
特にエアリスとティファが楽しそうにしているシーンが描かれていると、なんだか温かい気持ちになるのはきっと私だけではないはず。
ティファ編の見どころ解説
小説のはじまりは、まずティファ編からスタートします。
話の発端はエアリスがティファの過去を尋ねた事から。ミッドガルを出て、旅の道中にお喋りしている設定です。
①クラウドへの想いはいつから?
FF7のゲームの世界でも、ティファがクラウドに恋心を抱いていることはわりとハッキリ描かれています。
(FF7リメイクではこれからって感じでしたが。)
小説内では、ティファがクラウドを意識したきっかけや、成長するにつれてどんな感情を抱いていたのか詳しく描写されています。
ニブルヘイムにソルジャーが来ると聞いてウキウキしているティファの雰囲気とか、もう可愛らしいったらありゃしない。
恋とも、純粋に憧れともとれるティファの心の内側は、ゲームの中だけでは計り知れない部分ばかりです。
②ニブルヘイムでの生活
神羅に囲われた小さな街としてゲーム内に登場したことはあっても、ニブルヘイムでの暮らしぶりが詳細に説明されたのはこの小説が初めてではないでしょうか。
ニブルヘイムでは昔の日本のように、男性が外に働きに出て女性は家を守る、という考え方が浸透していたようです。
ティファの幼馴染の男の子たちが都会の街・ミッドガルに憧れたのも、いつかお金持ちになってティファを迎えにくることを夢見ていたようで。
クラウドもそういう想いだったのかはさておき、、
そんな環境で育った女の子がある日突然に父親を、村を失って一人で放り出されたときの喪失感を想像すると堪りませんね…。
物語の背景を知れば知るほど、キャラクターに感情移入しやすくなりとても興味深い設定でした。
③ザンカン師匠との出会い
ティファの師匠・ザンカンとの出会いから格闘術を身につけるまでの過程もかなり詳しく書かれていました。
初めからセンスはあれど、ティファが努力を重ねて技術を身につけていったシーンがたくさんあります。
小説を読んだ後にゲームで技を繰り出すと
「あぁ、ティファちゃん強いわあ、、あれだけがんばってきたもんね…」と感慨深くなるほど笑
ザンカン流の格闘術を通して、身体だけでなく心も強く成長してきます。
ストーリーが進むごとに自分が知っているティファにどんどん近づいていく様子は、読んでいてとても楽しかったです。
④大ケガからの生還&借金苦?!
ニブルヘイムの悲劇からティファが意識を取り戻して、ここからが壮絶でした。
文字通りすべてを失ったティファがミッドガルの診療所で目を覚まし、自分の置かれた状況に絶望します。
知り合いも、住む場所も、お金も服も全部ない。
大ケガの痛みに耐えながら少しずつ回復して、ばく大な金額の治療費を抱えてスラムでの生活をスタートします。
ゲームの世界ではすでにずいぶんとスラムに馴染んているティファがいますが、そこに辿り着くまでいろんな困難を乗り越えてきたんですねぇ…。
借金を返すために、毎日スラムでお仕事をがんばるティファの姿、想像するともう切ない。
多額の借金に隠された秘密もあったりして…。
そしてラストのティファのアクションにスカッとしますよ!
⑤スラム街の露骨な表現が刺さる
小説ならではの表現で心に刺さったのは、決して安全とは言えないスラム街の実情が描かれているところ。
たった15歳、世間知らずの女の子が独りで生活していくには、あまりにも危険な環境です。
トイレもお風呂も男性と共用だし、スラムの住民(しかも若い女の子)を見下す神羅兵の態度はハッキリ言って超~胸糞悪い。
ティファが大人の女性に成長するにつれて周りも放っておかなくなり、ゲームでは表現できないような露骨に嫌な描写も盛り込まれています。
野島さんが本当に描きたかったであろうスラム街の姿。よりリアルさが増して伝わってきました。
もちろんティファを支えた「善い人」との出会いも重要な見どころ。
マーレさんや、アバランチのメンバー、バレッド、マリンとの出会いもすべて繋がって、ティファというキャラクターをより深く知ることができました。
特にジェシーとティファの絡みはホッコリするポイントです!
ゲームだけだと、なんか仲良くさなそうだわ…と思ってた2人。
描かれていなかっただけで、お互い心を許し合ってるんだなぁ~と知れて嬉しかった。
エアリス編の見どころ解説
続いてはエアリスの過去。
シーンが変わって、いつものメンバーが神羅兵に変装して連絡船に潜伏している中、ティファとエアリスのお喋りがスタートです。
本の帯にも書かれていたエアリスのセリフ。
「聞きたいって言った人、いなかったし、話したいと思う相手もいなかっただけ。ね?聞く?聞く?」
って始まります。これだけで可愛い。
①神羅ビルでの隔離生活
まずはエアリスの母親・イファルナとエアリスが神羅のビルで隔離生活を送っていたところから。
エアリスが幼少期に古代種の力を覚醒させてから、イファルナに対する宝条の研究が過激になっていきます。
ようするに「代わりがいる」ことが分かったため、容赦なくイファルナを研究材料として扱うようになる。
そのことを後から理解したときのエアリスの心情は、計り知れない悲しみがあったでしょう。
またゲーム内では、母親と逃げ出した神羅ビルに自ら戻るエアリスがいますよね。
このときの彼女の胸の内は、どんな思いだったのでしょう。想像すると辛い。
②イファルナの人物像
小説を読むと、エアリスの明るい性格はイファルナ譲りなのがよく分かります。
イファルナは美しくて聡明な女性です。神羅に捕らわれている中でも、少しでも星命学の考え方を広めようと周囲に語りかけていた様子が表現されていました。
そして、イファルナを語る上でどうしても登場してくるのが宝条博士…。
ゲーム内では彼女が死んでもなお「研究材料」として扱い、解剖して細胞を保管している宝条博士の狂気っぷりが描かれていましたね。
もうほんとイヤやこの人…。
エアリスの身を案じて、最後の力を振り絞って行動したイファルナのエピソードは必読です。
③エルミナとの生活
エアリス編は、エルミナと暮らしているエピソードが7割ほどを占めています。
イファルナが亡くなってからFF7本編中まで、ずっと一緒に住んでいるんだから当たり前なんですが、新たなキャラクターが数々登場してきてスピード感のある展開でした。
エルミナとエアリスが住んでいる家って、スラムにしては豪邸だと思いませんか?
お花も咲いているし、明らかに他の場所とは違うエリア。
そのあたりの事情も詳しく描かれていて、スラム街の内情がよく分かるエピソードが多くて面白いです。
2人が少しずつ、本当の親子のように信頼し合っていく様子も分かります。
④リーフハウスとの繋がり
エアリスが小さい頃から、孤児院「リーフハウス」は存在していたようです。
親のいる家庭と孤児のあいだでケンカがあったり、ここでもスラム街をリアルに表現していて心苦しくも現実味を感じました。
孤児たちは13歳になるとみんな働きにでるようで、エアリスもそれにならってリーフハウスで働きだします。
花屋さんになるのはもうちょっと後の話。
エアリスが子どもの頃に接していた孤児のうちひとりが、のちにリーフハウスの支援に大きく携わっていたり。
「そこが繋がるのか!」と感心しちゃいました。
ほんと、さすがだなあ。彼。
⑤エアリスの描いた「絵」に関するサイドストーリー
エアリス編で個人的に一番心を揺さぶったのは、巻末に紹介されているサイドストーリー「絵画の中の調査隊」です。
このエピソードだけはエアリスでもティファでもなく、とある青年がメインとなって語られています。
彼はエアリスが神羅ビルに隔離されていた幼少期に、エアリスの遊び相手として連れて来られていた男の子でした。
少年の母親はイファルナとエアリスの世話係をしていて、彼の役目はエアリスとかくれんぼをしたり話し相手になったりすること。
古代種とか神羅の研究とか、そういったことは一切知らずにただ相手をするだけ。
そんな彼が大人になって気がついた重大な事実の真相に迫るため、15年前に神羅が行った大規模な調査に関する情報を辿っていきます。
エアリス・イファルナを取り巻く環境と、神羅兵・研究員・プレジデントの思惑が交差して、悲しい結末を迎えることに…。
FF7の世界が、いかに神羅に支配されているのかがよく理解できます。
そして、神羅に苦しめられている人々がどれだけの数いるのか。
このサイドストーリーは、今作以外に「ファイナルファンタジーVII リメイク ワールドプレビュー」にも掲載されているようです。
FF7の世界観をより濃密に感じることができるお話です。少しでも興味が湧いた方はぜひ。
次回作が一層楽しみになる小説
「ダブルヒロイン」として紹介されることが多いエアリスとティファの過去を描いた小説をご紹介しました。
どっち派?!なんて比べられることもある2人。
どちらも計り知れない苦しみを胸に抱きながらFF7のストーリーを生き抜いている…と思うと、猛烈にどっちもLOVE!となった33c0mでした。
2021年になってキャラの新たな一面を知ることができたのは、FFファンとしてとても嬉しかったです。
知れば知るほどにキャラクターに愛情が湧いてきて、リメイク続編がさらに楽しみになりました。
Amazonでは電子書籍版も発売されていますので、ぜひ手に取ってみてください。
以下の記事☟では、小説と同時に発売されたFF7リメイクの開発素材をまとめた本「マテリアルアルティマニアプラス」の見どころをまとめています。
なんでクラウドは世界中で大人気なの?と勝手に深堀りしてみた記事は以下からどうぞ☟
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